浴衣に足袋、正しい?間違い?


下駄に足袋はあり?なし?


先日、SNSで浴衣に足袋を履くことは間違いだという投稿が、ちょっとした炎上に発展したことがありました。

常々このブログでも書いていることですが、いわゆる冠婚葬祭の「和装」としての存在を求められない限り、足袋を履こうがソックスをあわせようがとがめられるものではないと私は考えています。
日舞をしている方なら浴衣に足袋は普通でしょうし、少し良い浴衣を購入するときに、半襟と足袋を添えれば夏着物として着られますよ、という風に教えられたという方もいらっしゃると思いますが、それも間違いではありません。

私自身は、そもそも夏着物のように着れるかどうかは、”その浴衣”によると思っています。

浴衣といってもピンからキリまであります。旅館にあるような筒袖のペラペラなものから、竺仙のもののように下手なプレタよりも高価なものもあります。

素材自体も、いわゆるよくみかける綿コーマの浴衣だけでなく、有松絞りなど加工に手がかかっているもの、長板中形のような染めに手間がかかったもの、綿紅梅のように織自体が複雑なものなど、本当にいろいろです。そのレベルだとほとんど夏着物と変わらないので、足袋を履いて夏着物として着る、は全然ありです。特に、半襟を組み合わせるなら足袋も履いたほうが適切だと思います。

逆に、そもそも旅館クラスの浴衣を、夏着物のように着ようと思う方はそういないでしょう。

白木の下駄は足袋、塗りの下駄は素足

それでも不安という方もいるかもしれません。そもそも浴衣を着るときに足袋を履くことは、ルールとしては正しいのでしょうか、間違っているのでしょうか。

「白木の下駄は足袋、塗りの下駄は素足で」

これは、私が以前着物の先輩方に教えていただいたことです。
簡単にいうと、白木そのままの下駄は塗装がされていないので汗や皮脂の跡がつきやすく、足裏の水分を吸い込んでシミになったり、汚れやすいので足袋を履くようにする。焼きや塗りが施された下駄はそのようなことがないので、素足で履いてもOKというルールです。

つまり下駄の素材にもよる、という話です。
ルールとして正しい正しくないがはっきり決まっているわけではないのです。

現代的に考えると、足袋は洋装でいうところの靴下やストッキングです。
例えば誰かのお宅に伺う際に、素足のまま上がり込むわけにはいきませんよね。神社のお祭りなどでも、揃いの浴衣姿の世話人さんたちはほぼ必ず足袋をはいています。これはやはり神事であり、素足は神様に失礼ということなのでしょう。

こんな風に”素足”や”生足”がふさわしいか否かで考えてみれば、そこまで変な判断にはならないのではないでしょうか。

愛用の下駄たち。素足が好きなので加工してある台が多いです。

少し歴史的なことをいうと、草履の登場は昭和10年くらいで、それ以前はみんな下駄を履いていました。下駄に足袋というのも、そう考えればちゃんと歴史的にありなのです。
現代では下駄を浴衣専用と思っている方も多いようですが、和装としてのフォーマルを求められたり音が気になる場でなければ、下駄でも問題ないケースは多いです。私自身も下駄の方が好きで、カジュアルな着物の時はほぼ下駄です。

なにか言われてしまったら「素足ではふさわしくない場所にあとで伺うので足袋をはいています」で通してしまえば十分ではないかと思いますよ。

これを書いた人★

洋服で飲みに行くと「あれ着物じゃないの?」といわれてしまう普段着物研究家。
ランナーでもあり、ランニングウェアと着物があれば基本の生活ができてしまう人。
沖縄独特の茶道「琉球茶道ぶくぶく茶」 の東京分室主催。
noteマガジン「ぶくぶく茶を知ろう! - 東京分室だより -
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