実は付け帯は難しい。

付け帯とは

付け帯とは、胴に巻く部分と背中の結びの部分をあらかじめ分けて形作ってある帯のことです。結ぶ部分の形を縫製してあったり、胴巻きの部分が紐やマジックテープで簡単に身に着けられるようになっているものなど様々な種類があります。

 

付け帯の誘惑

 

着物を着ようと思ったときのネックのたぶん90%以上は帯結びでしょう。
帯結びできない=自分は着物が着れない、と思っている方はかなりいらっしゃるように思います。
 
そんな初心者が着物を着ようと思ったとき、まず手を出してしまうのが「付け帯」です。
浴衣用の安価な「付け帯です!」って主張しているようなものはさすがに論外としても、古着でも意外と付け帯って見つかりますし、手持ちの帯を付け帯にしてくれるサービスなんかもあって、これだ!って思ってしまうんですよね。
あの面倒な帯結びに悩まなくていいなんて!
と思うと、本当に便利に感じてしまう。うん、よおーくわかります。


付け帯には色々な形状がある


 付け帯色々

お太鼓部分と胴の部分が分かれているタイプ。

 一体型。黄色いのは半幅帯。

 きらきらの洋服地で作られているこんなものも。



他にも、お太鼓部分も一枚布で、普通の帯結びのように後ろのは結ぶタイプまで色々な種類があります。


付け帯は、上級者になってから使おう

なにを隠そう、実は私も最初は「付け帯があれば楽ちんだよね!」って色々買い集めました。
上の写真でお分かりのように、結構持ってます。

でも、だからこそ言います。付け帯は初心者にはむしろ難しいって。
理由は簡単です。着姿がきれいに決まりにくいから。

さらには普通に着つけたときとは違う、あり得ない形に崩れてきて恰好悪いからです。

着物は折り紙みたいに、一枚の布を折って体に沿わせる衣服です。それをパーツパーツで身に着けると、あり得ない場所に結び目が来たり、変なところに帯締めが通ったりしてしまう事故が起こります。それをクリアするにはむしろ着付けや帯結びの知識が必要だったりします。

それに、布を折りたたむことで、重なる部分の摩擦があるから、ギューッときつく結ばなくても崩れにくいのです。

でもばらばらにパーツで身に着けるとその摩擦が少ないので崩れやすくなっちゃう。普通なら帯の布で巻き付けるところがせいぜい紐なんですから、さもありなん。すぐに緩んできます。その着姿をきれいに直すにもテクニックと知識がいります。

ちょっと乱暴な例かもしれませんが、ワンピースと、シャツとスカートとの違いみたいな感じです。スカートだけくるくるっとずれたりすることはあっても、ワンピースではないですよね。
それにウエストとかすっきり見せるには結構テクニックがいりませんか。そんな感じです。

着物に慣れている人ならどうなっていればいいのか理解しているので、便利この上ない付け帯ですが、初心者にはハードルが高いのがお分かりいただけましたか。
むしろ着付けに時間がかかる上に、きれいに決まらない確率がうんと上がってしまうんです。
(同じ意味合いで、上下分かれているツーピース型の着物も初心者にはお勧めしません。)


日常の着物には半幅帯がおすすめ

私個人としては、普段に着物を着るなら、付け帯より、むしろ半幅帯の活用をおすすめします。半幅帯って浴衣用のイメージが強いけど、そんなことないんですよ。

浴衣用の単の薄いものではなく、袷仕立てで雰囲気の違う半幅帯を二本、それだけあれば普段着生活には充分すぎるほどです。


これを書いた人★

洋服で飲みに行くと「あれ着物じゃないの?」といわれてしまう普段着物研究家。
沖縄独特の茶道「琉球茶道ぶくぶく茶」 の東京分室主催。
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